寝太郎と体

寝太郎は3年働かず、動かず、寝ている。

実家で、汗まみれの布団に包まれている。

今日も、昨日と同じように天井の一点を見つめ、息をする。

寝太郎:働かなければいけない。しかし、体が動かない。

体:ぼくはまだ動ける体じゃないよ。

寝太郎:でも、働かなくちゃ。

体:ずいぶんと寝ていたんだ。ぼくにできることは限られているよ。

寝太郎:でも、働かなくちゃ。

体:そのハードルは高いよ。無理してはいけない。できることをしよう。

寝太郎:ぼくにできることはなに?

体:足の指は動かせるかい。

寝太郎:動いたよ。

体:手の指は動かせるかい。

寝太郎:うん、動いた。

体:いいね。ほら、できることは沢山ある。子供のように成長していこう。次は、起き上がれるかい。

寝太郎:起き上がれない。

体:起き上がれるはずだよ。なにを恐れてるんだい。

寝太郎:・・・起き上がったら、働けると皆に思われそうなんだ。だから、起き上がれない。

体:大丈夫、まだそれは望んでないよ。先のことを想像してはできることをできなくさせてしまうよ。

寝太郎:本当にできないんだよ!

体:じゃあ、起き上がること、それだけに挑戦しよう。

寝太郎:起き上がる、起き上がる、起き上がるだけ。

体:1、2の3!

寝太郎は起き上がった。

体:できた!

寝太郎:なんだか頭がクラクラする。

体:状態を保つだけで大変なんだ。これを保てるようにしよう。そしたら、次が見えてくるよ。

寝太郎はゆっくりと二酸化炭素を吐き、ゆっくりと酸素を吸い込んだ。

寝太郎:全身に酸素が流れ込んで、体を感じる。

体:血が流れている。