刈り上げ男と横分け男とパーマ男

チェーンの居酒屋で、三人組の男が酒を酌み交わしている。彼らは高校の同窓生。

店の内装は日本風の作りで、照明はオレンジ。

刈り上げ男:性欲で好きになるのってどう思う?

刈り上げ男が、ジョッキ傾けながら語る。

パーマ男:いいじゃん性欲。

横分け男:彼女とどこまでしたの?

パーマ男:C ?

刈り上げ男:・・・今その質問?

横分け男:Fじゃね?

パーマ男:いや、Zだね。

横分け男:Zってなに?

パーマ男と横分け男は笑みを抑えきれぬ表情で、盛り上がる。

刈り上げ男:おまえたち、俺の話無視か。

パーマ男:ごめんごめん、なんだっけ?

刈り上げ男:なんかどうでもよくなってきた。

パーマ男と横分け男は、静かになり、酒や、つまみに手を出す。

刈り上げ男:・・・いや、性欲で人を好きになっていいのかなと思って。どう思う?

パーマ男と横分け男は、静かにしている。

刈り上げ男:ほら、性欲で好きだと、相手の人間性を見落としちゃわないかなって思って。だから、性欲で好きになるのってどうなんだろ?

横分け男:俺、高校のときの恋愛全部性欲だけど。

パーマ男:それがバレたから高校のときフラれたんだな。

横分け男:隠すつもりがないから、フラれたんだよ。

刈り上げ男:性欲が理由じゃ、女子は怖いだろ。

横分け男:うーん、俺的には、最終的な結果が性欲なだけで、その前段階で感覚的に人間性をみてる感じなんだけど。人間的に嫌いなら、性欲なんか湧かない。

刈り上げ男:それなら「君の人間性が好きだ」って言えばいいじゃん。

横分け男:告白になると、それが出てこないんだよね!

刈り上げ男:こりゃダメだ。

パーマ男:性欲あるのに彼女にだせないなんて可哀想だな。

刈り上げ男は、口と目を大きく開けて、驚いたように動きを止めた。

刈り上げ男:そっか!性欲を表に出したいのか!性欲だして、嫌われるのが怖いのかもしれない!でも、我慢してるってことは、本当の自分を好きになってもらってないってことだ!性欲があることを打ち明けよう!話はそれからだ!

刈り上げ男、・・・何回も「性欲」って言ってしまった。

パーマ男:いいじゃん!

パーマ男と刈り上げ男は、なんとなくビールのジョッキで乾杯をした。

横分け男:・・・で、どこまでしたの? 

刈り上げ男:またか。

夜が更けていく。

枝豆の残骸が、高くなっていく。